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2007年11月14日掲載

野原 祐也〜富山・野原祐也 リーグ2冠王でもお金がない

〈平日昼間は清掃作業員〉
7月8日、野原は新潟戦でバックスクリーン直撃弾を含む1試合3本塁打を放った。NPBでもなかなか出ない離れ業だ。「NPBを除けば、打つだけなら日本でNO1」パ・リーグのあるスカウトは言い切った。
 
国士大では主将を務めながら4年時に恥骨結合炎で1年を棒に振った。3月のチーム合流時の目標はレギュラー入り。だが宮地克彦プレーイングコーチ(36)の指導で打撃開眼した。打率4割1分2厘、本塁打14本で2冠、打点75で2位。大学卒業後に野球をする場所を失いかけていた男の急成長は、リーグの存在価値を大きく肯定するものだった。
 
打撃だけならNPBでも十分通用すると言われている男は今、ユニホームを作業着に替え、平日は午前9時から午後5時まで富山県内を飛び回る。「会社にもけがなどしないよう配慮はしてもらっていますし、仕事的には楽なことをやらせてもらっているんですけど…。慣れなくて大変ですね」と苦笑い。11月初めからスポンサー企業のオフィスケイで、公園清掃などの仕事をしている。
 
〈基本給15万 貯金は10万〉
北信越BCでは4月から10月までの7か月間しか野球で給料をもらえない。基本給は月15万円。「オフに備えて貯金したんですが、10万円くらいしかたまりませんでした」。開幕直後、野原のおにぎりの具がマヨネーズだったのは有名な話だが、実は今も車を持っていない。車社会の富山でチームメートに便乗する不自由な生活をしている。
 
高校や大学では授業が終われば毎日野球をする場所と時間がある。社会人野球の強豪はオフも午後から練習している。NPBは秋季キャンプの真っ最中だ。同じ独立リーグの四国アイランドリーグでは2月から10月まで9か月間、給料が支払われる。野球をする環境としては決して恵まれてはいない。半年間72試合を戦った経験と技術が失われかねない。
 
そのハンデを克服しようと、野原は仕事を終えるとすぐに練習場所に向かう。チームが借りている室内練習場は午後7時から9時までしか使えない。7時までには屋外でアップを終わらせ、ボールを使う時間を確保している。
 
〈ハングリー最大の武器〉
「本当は朝から野球をやりたいけど、逆にこれくらいハングリーな方が気合が入ります」と野原は厳しい環境からNPBへの夢を追う。

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とやま・いしかわ報知
「スポーツ報知」にて富山、石川に密着したスポーツ記事を掲載中。

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