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2008年10月31日掲載

野原 祐也〜BC2冠王阪神育成1位「4番・レフト金本さん目指す」

プロ野球のドラフトが30日、都内のホテルで行われ、富山サンダーバーズの野原祐也外野手(23)が育成ドラフトで阪神の1位指名を受けた。昨年、首位打者、本塁打王の2冠王に輝いた“BCリーグの大砲”は「4番・レフトを目指したい。金本選手のような丈夫で、強い選手になりたい」と“金本2世”に名乗りを上げた。

〈内村に続け〉
落ち着かない表情が、一気に満開の笑顔に変わった。午後5時39分。ドラフトを映し出す会場のテレビから自分の名前が流れた瞬間、目をまん丸にした野原が言った。
「何か、あんまり実感がない。ビックリしています」多くのカメラのフラッシュを浴びても、まだ、長年の夢が実現したことが信じられない。

抜群のスイングスピードで、1年目に2冠王に輝き、今季も4番として活躍、チームを優勝に導いたBCリーグ最強の打者。育成からのスタートは昨年、石川ミリオンスターズから楽天に入団した内村賢介内野手(22)と同じだが、目標は限りなく大きい。

〈おかわり君〉
「阪神の『4番・レフト』を目指したい。金本選手のような丈夫で、強い選手になりたい」ときっぱり。国士大4年の春に恥骨結合炎を患い、1年間プレーできなかったこともあった。だが、BCリーグでは2年間、全試合出場。「伝統の巨人・阪神戦をわかせる選手になってほしい」と、富山の鈴木康友監督(49)の期待も大きい。担当の阪神・池之上格スカウト課長からも「打撃センスはもちろん、野球に取り組む姿勢がいい。阪神に新風を吹き込んでもらいたい」と期待される男は、連続フルイニング出場お世界記録を持つアニキを目指す。

マクドナルドに入ると、平気で2000円以上のハンバーガーを平らげるなど、大食漢ぶりでチームメートや富山のファンから「おかわり君」の愛称で親しまれてきた。この日も「気持ち的には、ごはん25杯を食べられるぐらい、うれしい」とおどけたが、会見の最後には「(支配下登録の)最短記録を作るぐらい頑張ります」ときっぱり。さらなる高みを目指し、雷鳥軍団の主砲がNPBの扉をたたく。

2008年10月29日掲載

富山無念…逆転負け 日本一目前…小山内9回追いつかれ11回力尽く

BCリーグ優勝の富山サンダーバーズは2−3と逆転負け、独立リーグ日本一を逃した。2連敗後、四国・九州IL覇者の香川オリーブガイナーズ2連勝し、逆王手をかけていた富山は、4回に先制し、5回には山内匠二(28)が右前適時打。投げては188賊ο咫μ效智朗(26)が好投したが、8回に失策絡みで1点を許すと、9回1死三塁にエース右腕・小山内大和(26)が同点打を浴び、延長11回で力尽きた。

〈鈴木監督涙なし〉
涙はなかった。富山・鈴木康友監督(49)は、すっきりとした表情で激闘を振り返った。「あとアウト2つまでいったけど、これも野球。悔いはない」敗戦の瞬間ベンチの最前列で胸を張った。ただ、試合途中から降り出した冷たい雨が、背番号81の背中を打っていた。

楽しみながら、独立リーグの頂点を目指した。グランドチャンピオンシップへ、練習を再開させた13日。「ここまで試合をできるチームはない。楽しんでいこう」相手は昨年石川を圧倒した香川。自然と肩に力が入る選手たちを集め、指揮官はきっぱりと言った。

独立リーグの先輩の壁は厚かった。第2戦までの2試合はわずか4安打。2連続で香川の好走塁に屈し、一気に王手をかけられた。それでも、姿勢は変えなかった。リーグ戦中はふがいないプレーをした選手に、手を上げたこともあったが、敗戦のロッカールームで、選手たちを笑顔で出迎えた。「短期決戦は何が起こるかわからない。地元でドラマを作ろう」がけっぷちに立たされても、笑顔は崩さなかった。

〈逆王手も無念…〉
祈りは通じた。25日はエース小山内が2失点完投し、第4戦は2年間で1度も完封勝利経験のない139善ο咫ε鎮羚Ъ 24)が完封。地元で逆王手をかけた。「1分1秒でも、時間が戦いが止まってほしかった」心の底から、この戦いを楽しんでいた。

最終決戦は最後までもつれた。日本一まであとアウト2つのところで同点に追いつかれ、最後は延長11回で屈した。それでも「はしみたいにポキッと折れる選手かもしれないが、束ねたら強くなる。負けたけど、いい試合を見せられた」今季82試合目の戦いに悔いはなかった。

来季、鈴木監督は3年契約の3年目を迎える。正式な契約交渉は今後だが、永森茂球団社長は「前、後期と優勝して、成績的には問題ない」と続投を打診する見込みで、鈴木監督も「また来年。日本一を目指して頑張りたい」と09年に意欲を示した。勝負の年。来年、50歳を迎える指揮官は、この悔しさを必ず大きな歓喜に変えるつもりだ。

〈プロ注目野原不完全燃焼〉
ドラフト候補の4番・野原は、不完全燃焼に終わった。3打席連続四球の後は、8回1死で一、二塁間を抜けるヒット。しかし、一発を期待された延長11回にはスライダーで三振。「あそこで振ってしまうところが今の実力。みんなに申し訳ない」と肩を落とした。

因縁の香川戦だった。国士舘大4年の秋、香川のトライアウトに挑戦。しかし、その前夜に交通事故に巻き込まれ、むち打ちで受験を断念。その後、富山を受け合格した。「受かれば向こうに行こうと思っていた」と複雑な思いもあった。

惜しくも日本一は果たせなかったが、阪神とロッテ、オリックスから調査書が来ており、ドラフト指名も有力だ。「今は不安と期待が両方。どっしりと構えて当日を迎えたい」と気持ちを切り替え、30日を待つ。

2008年10月27日掲載

田中 孝次〜四国・九州IL王者香川に4−0快勝 田中無四球完封 富山逆王手

富山サンダーバーズが香川オリーブガイナーズに2連勝。独立リーグ日本一へ逆王手をかけた。0−0で迎えた8回に伊東大輔(23)の左中間2点二塁打などで一挙に4点を奪うと、投げても、リーグ戦後期から先発に回った139善ο咫ε鎮羚Ъ 24)が無四球で初の完封勝利を飾った。4−0で完勝し、対戦成績を2勝2敗のタイとした。27日の第5戦は黒部・宮野野球場で行われる。

〈わずか4安打〉
大きすぎる喜びが、逆にリアクションを小さくさせた。逆王手をかけた瞬間、仲間からのハイタッチに淡々と応える田中。入団2年目。絶対に負けられない一戦で飾った初の完封勝利。「こんなことが出来るとは思わなかった」ヒーローインタビューでは、さすがに声がうわずった。

140疎罎猟承紊呂覆ぁそれでも、背番号21は香川の強力打線の前に仁王立ちした。「130疎罎竜紊呂い蕕覆ぁ制球だけを意識した」と最速139舛離好肇譟璽箸脳”蕁“遅球”で強気の内角攻めを敢行。わずか4安打の無四球完封だ。「今日は田中に尽きる。こういう勝ち方しかないと思っていた。興奮しています」と鈴木康友監督(49)。指揮官も目を丸くする快投だった。

〈リベンジ達成〉
気持ちだけは切らさなかった。18日の第2戦では6回1/3を投げ、3失点。チームも2連敗。香川に王手をかけられ、174賊ο咾蓮⊆紺佞里匹鹹譴僕遒舛拭それでも、試合後のミーティングで「もう1回、田中に投げさせよう」と鈴木監督。その一言がうれしかった。

訪れるか分からない第4戦のマウンドだったが、富山に帰ってからも、リーグ戦中と変わらない調整を続けた。祈りが通じたこの試合は香川のエース塚本との投げ合い。それでも「踏ん張れば、打者が打ってくれると思っていた」おとなしい性格から、チーム内では“いじられキャラ”の男が、粘り強い性格で最高の答えを引き出した。

地元で2連勝。逆転日本一まで、あと1勝だ。「ここまで来たら、絶対優勝したい」と田中。上昇気流に乗った雷鳥軍団に怖いものはない。あとはVロードを突き進むだけだ。

〈伏兵軍団が大一番で大手柄!!藤岡だ大士だ伊東だ〉
富山の“伏兵軍団”が、試合を決めた。8回1死満塁。藤岡直也(21)が放った打球は一塁手正面へのゴロだったが、それをファンブルする間に気迫のヘッドスライディング(記録は一塁エラー)。背番号25が足で先制点を稼ぎ出すと、続く満塁の好機には、7回から途中出場の大士(23)が左前適時打。押せ押せムードの中、伊東のバットからは、ダメ押しの左中間2点二塁打が生まれた。

貴重な4点をたたき出した3人は、リーグ戦の出場60試合未満。規定打席に満たない選手たちだった。大士が「なんとかバットに当てようとした結果」とニンマリ笑えば、「いいところで回ってきた。直球がきたら、思い切り打とうと思っていた」と伊東。雷鳥軍団のレギュラーを狙う男たちの意地が、香川を沈めた。

2008年10月26日掲載

小山内 大和〜崖っぷち富山救った初勝利導いた 小山内大和魂完投!!

富山サンダーバーズが、意地の1勝を挙げた。四国・九州IL王者・香川オリーブガイナーズに敵地で2連敗して迎えた第3戦は、初回に優士(25)の右越え二塁打で2点を先制。2回にも町田一也(22)の三塁適時内野安打などで2点を奪うと、投げては、エース右腕・小山内大和(26)が2失点完投。5−2で快勝した。26日に行われる第4戦で、勢いに乗った雷鳥軍団が逆王手を狙う。

〈昨季4勝4S香川お得意様〉
雷鳥応援席から沸き上がる“大和コール”を、心の底から喜んだ。試合後のヒーローインタビュー。言葉を選びながらも、富山・小山内はきっぱりとした口調で言った。「やっと勝つことができました」試合中は常にポーカーフェースを貫く背番号48。再び起こった万雷の拍手に、端正な顔も思わず崩れた。

「調子は良かったけど、力みで制球が甘くなった」2回までに4点の援護を受けたが、5回まで7安打2失点。最多勝、防御率の2冠王に輝いたリーグ戦中の投球とは、ほど遠かった。それでも、四国IL・愛媛の3年目だった昨年、香川から4勝4セーブを挙げた経験が窮地を救った。

「香川打線は厳しいところを安打にする。甘い球の方がミスってくれる印象があった」独持の感覚で、6回からは大きく割れるカーブを軸とした変化球主体の投球にギアをチェンジ。回の合間には正捕手の廣田嘉明主将(27)と配球を練り直し、勝負どころでは後期開幕前に横田久則コーチ(41)から伝授されたフォークを多投した。11個のアウトを内野ゴロで奪う打たせる投球で2失点完投。

〈抜群のうまみスカウト絶賛〉
阪神・池ノ上格スカウト課長が「投球に抜群のうまみがある。(変化球で)あれだけ打者の軸をぶらせれば、打てるもんじゃない」と、うなる110球の完投劇。17日の第1戦で3失点で負け投手になった悔しさも、地元で晴らした。

エースの快投で1勝を挙げたが、王手をかけられた状況は変わらない。小山内は「まだ1つ勝っただけ。いつでもいけるようにしたい」とフル回転を誓った。この意地がある限り、雷鳥軍団の日本一への戦いは終わらない。

〈神風吹いた!!〉
富山は初回2死二、三塁から優士の右飛を香川の右翼手が目測を誤り、ラッキーな形で2点を先制(記録は右越え2点二塁打)。2点リードの7回1死二塁では藤岡直也(21)がダメ押し右前適時打を放ち、9安打5得点。敵地2試合でわずか4安打に終わった打線が、地元で奮起した。鈴木康友監督(49)「(優士の2点打は)神風が吹いた。(相手の先発は第1戦で敗れた)塚本だと思ってたんですけど、うまく攻略できた」と久々の爆発に笑顔を見せた。

2008年10月19日掲載

富山連敗

富山サンダーバーズが、四国・九州IL優勝の香川オリーブガイナーズに逆転負けを喫し、独立リーグ日本一に王手をかけられた。初回に町田一也(22)の左前適時打で先制したが、4回に同点に追いつかれると、7回には4安打に好走塁を絡められ、2失点。打線も好投した先発・田中孝次(24)を助けられず、3安打。1−3で2連敗した。第3戦は24日、地元・桃山球場で行われる。

〈わずか3安打〉
香川応援団の大声援が耳をつんざく。マウンドから降りる富山・田中の視線は、宙をさまよった。「そんなに怖い打者はいなかった。ただ、仕方ないです」6回まで4安打1失点に封じたが、7回に2失点。痛恨のイニングを悔やむしかなかった。

走塁の差が勝負を分けた。7回1死一、三塁。走った一塁走者を一、二塁間で挟殺プレーに持ち込んだが、三塁走者・国本に逆転の本塁を突かれた(記録は重盗)。廣田嘉明主将(27)が「走るタイミングを知っている。そういう訓練もしているんだろうな」と振り返れば、鈴木康友監督(49)は「今までに体験したことのないプレー。間一髪でやられている」。17日の第1戦では守備陣の一瞬のスキを突かれ、シングルヒットで一塁走者が生還。独立リーグ2連勝を目指す王者の好走塁に、2夜連続で屈した。

〈地元で逆襲だ〉
前日に1安打完封負けを喫した打線は、第2戦もかみ合わない。1回2死二、三塁に町田の左前適時打で先制したが、後が続かない。2回以降、5度得点圏に走者を置いたが、香川の継投の前に2安打に終わった。

24日からは富山ラウンド。指揮官は「まだ、負けたわけではない。ここからドラマをつくりたい」と地元での3連勝を誓った。がけっぷちにたたされた雷鳥軍団。今こそ、BCリーグ王者の意地を見せる時だ。

2008年10月18日掲載

小山内 大和〜好投小山内救えず 富山たった1安打

〈四国・九州IL王者香川に初戦完封負け〉
富山サンダーバーズは、四国・九州IL覇者の香川オリーブガイナーズに完封負け、初戦を落とした。エース右腕・小山内大和(26)が力投したが、4回に香川の足を絡めた攻撃に3失点。打線もサブマリン・塚本にタイミングが合わず、わずか1安打に抑え込まれ0−3の完敗だった。負けられない第2戦は、サーパススタジアムで午後6時にプレーボールする。

〈悪夢の4回〉
悪夢のような光景に、富山・小山内はぼう然と天を仰いだ。0−2とされた4回2死一塁。遊撃後方に上がった左前打で、香川の一塁走者・国本が二塁、三塁ベースをけって、一気にホームを陥れた。守備陣の一瞬のスキを突かれ3点目を許し、背番号48は唇をかみしめるしかない。目の力は完全に失われていた。

魔の4回だった。1死二塁。丈武の放った中堅方向への強烈な打球を二塁手川端英治がはじいて(記録は二塁内野安打)一、三塁のピンチとされると、さらに暴投で二、三塁に。中犠飛であっさりと先制点を許した。

続く2死二塁では、国本の平凡なゴロを山内匠二がトンネルして2点目を献上。試合を決めた3点目は、87年の日本シリーズ第6戦で西武が見せた好走塁を思い出させる形で奪われた。「しっかり守っていたら、0−0のゲーム。(小山内)大和は球数も少ないし、よく投げた。でも、バタバタしたところで3点を取られてしまった」と鈴木康友監督(49)。エースは結局4安打完投しただけに、4回の3失点を悔やんでも悔やみきれない様子だった。

強力打線も全く火を噴かなかった。塚本の120キロ台の浮き上がる直球と、80キロ台の大きなカーブに打撃を崩され、安打は4回先頭の山内の右前打のみ。四国・九州IL王者に力の差を見せつけられた。

〈暗さはなし〉
それでも、試合後のミーティングでは笑いが起きるなど、初戦を落とした暗さはなかった。この日無安打に終わった野原祐也は「ここから、ばん回しますよ。このままでは終われない」と第2戦での奮起を誓った。悲観している暇はない。勝利だけを目指し、前に進むしかない。

2008年10月12日掲載

草島起死回生3ラン!!優士サヨナラ打!!富山初V

〈群馬に3連勝〉
富山サンダーバーズが破竹の3連勝で、上越地区優勝の群馬ダイヤモンドペガサスを下し、BCリーグ優勝を決めた。3点を追う9回2死一、二塁の土壇場で草島諭(24)が起死回生の右越え場外3ラン。奇跡的な同点弾で流れをつかむと、延長10回2死一、三塁から優士(25)がサヨナラ二塁内野安打。4−3と、劇的Vを飾った。富山は17日、開幕の日本独立リーグ・グランドチャンピオンシップで四国IL覇者・香川オリーブガイナーズと激突する。

〈死闘3時間55分〉
鳥肌が立つような試合内容に、鈴木康友監督(49)も、すっかり心を奪われた。延長10回2死一、三塁。優士の二塁内野安打で決めた劇的サヨナラV。その瞬間、指揮官の目も真っ赤に染まっていた。「長いことやっているけど、こんな感動的な試合はない」3時間55分のドラマの後には、5回の胴上げが待っていた。ただただ、リーグ制覇の余韻に浸った。

ゼロからのスタートだった。07年3月5日、産声をあげた富山。だが、転々とする練習場の中には、ホームベースもないグラウンドもあった。指揮官が引越し用ダンボールでホームベースの代用品を作り、その場をしのいだが、わずか10段の階段でトレーニングしたことも。「さすがにびっくりした」と主砲の野原。慣れない環境に不安な日々が続いた。

1年目は石川とのマッチレースに敗れ、初代王者の座を逃した。悔し涙に暮れる中、選手たちはその年限りでチームを去ることになった宮地克彦プレーイングコーチ(現ソフトバンク)に「おまえらで、『監督を胴上げする』という俺の夢をかなえてくれ」と声をかけられた。廣田嘉明主将ら多くの選手が今も尊敬する選手としてあげる男の一言。「宮地さんの夢もかなえたかった」と燃えに燃えた。

2年目の4月からは公式練習場として、立山球場を使用。5月には球団ワースト6連敗を喫したが、打線は野原中心のつなぎ野球に徹し、投手陣はエース・小山内大和を軸に戦い抜いた。「去年は大味な試合が多かったけど、今年は粘り強くなった」と指揮官。リーグ優勝が懸かったこの日の戦いも、誰もが負けを覚悟した9回、草島が同点3ラン。一気に頂点まで突っ走った。

17日から、昨年、石川を圧倒した香川と独立リーグ日本一を懸けて戦う。「まだ、終わりじゃないから」と鈴木監督。雷鳥軍団の伝説は、まだ終わらない。

〈草島9回2死フルカウントから場外弾〉
悩めるスラッガー、草島の“今季1号”となる場外3ランで勝利を引き寄せた。3点ビハインドの9回2死一、二塁のフルカウントで、ど真ん中の速球を迷わずフルスイング。「手応えも完ぺき。打った瞬間に行くと思った」と草島。大きな放物線を描き、ボールは球場外の林に消えた。

どん底からの復活だった。昨年は主軸として、打率3割3分8厘、本塁打13本で共にリーグ2位を記録。
しかし、春先に右ひざ、背中、かかとを次々に故障。絶不調に陥り、今季は代打要員としてベンチを温めることもしばしば。「心が折れそうだったけど、ファンの応援が元気をくれた」と地道に練習。最後にその努力が報われた。

「レベルの高い香川の投手から、今日みたいに打ちます」と草島。日本一を決める大舞台で、完全復活を目指す。

2008年10月09日掲載

富山王手〜敵地連勝!!11日宮野で舞う

富山サンダーバーズが、BCリーグ制覇に王手をかけた。今季5勝の田中孝次(24)が、自己最速139キロの直球を軸に、6回を無四球で2失点。打線も塚本雄一郎(23)が3安打2打点の活躍を見せれば、8回には野原祐也(23)が右翼場外に消えるダメ押し3ラン。攻守がかみ合い、群馬ダイヤモンドペガサスに9−3で大勝した。優勝をかけた第3戦は11日、黒部・宮野野球場(13時開始)で行われる。

〈母へ最高の報告〉
最後の瞬間を見届けると、富山・田中は充実した表情で、ベンチを飛び出した。群馬に9−3で大勝。「アウェーでの、この2勝目はデカい。勝てて良かった」敵地での2連勝を呼び込んだ174賊ο咾蓮顔かを真っ赤にして喜んだ。

自然と気持ちも高ぶった。5回の先頭打者。カウント1−0からの外角の直球は自己最速タイの139キロをマーク。この直球を内外角に集め、決め球には外角のスライダー。群馬の強力打線に的を絞らせず、6回を7安打無四球、2失点。鈴木康友監督(49)が「序盤は苦しい試合展開だったけど、田中がよく投げてくれた」と目尻を下げる投球だった。

プレーオフでの活躍を伝えたい人がいた。母・道子さん(57)。女手一つで育ててくれた最愛の母は、自らが神奈川・釜利谷高3年時から体調を崩し、現在も病院通いの生活が続いている。息子の投球を見たのは高校3年の夏が最後で、BCリーグでの試合は1試合も見ていない。田中は「無理して、大学(帝京平成大)にも行かせてくれた何としても勝ちたかった」。シーズン中から自分が掲載された新聞は、実家に送っているという孝行息子。北陸地区チャンピオンシップの石川戦に続く2戦連続の好投は、最高の報告になりそうだ。

〈塚本技あり3安打2打点〉
狙い打ちだった。3点リードの6回2死三塁。塚本は内角のスライダーを迷わず振り抜いた。「(下手投げの)キムは打ちづらかったけど、変化球を狙っていた。いいところに飛んだ」打球は左中間を抜ける適時二塁打。二塁ベース上で、思わず白い歯がこぼれた。

小技でも見せた。初回無死一塁には初球をきっちり投前に犠打。8回2死には三塁線に絶妙のバント安打を決めた。2回にも左前適時打を放っており、今季初の猛打賞で2打点。「後ろにつなぐことが大事。僕がつなぐと、チームに勢いが出る」打撃練習ではバントやバスターに時間を割く背番号0。ソツのないプレーを見せた雷鳥軍団の“いぶし銀”が、敵地2連勝の呼び水となった。

〈木谷1失点締め〉
7回からは、プレーオフからリリーフに回っている188賊ο咫μ效智朗(26)が3回1失点。盤石の投手リレーで、四国IL・香川とのグランドチャンピオンシップまであと1勝だ。11日からは地元・富山決戦。田中が「この流れで3連勝したい」と言えば、指揮官は「もう1試合。一気にいきます」とまくし立てた。上昇気流に乗る雷鳥軍団が全速力でVロードを駆け上がる。

2008年10月08日掲載

小山内 大和〜最速143キロで6安打 小山内完封

〈余裕の119球〉
余裕があった。3点リードの9回。先頭打者を味方のエラーで出しても、富山・小山内はまったく慌てることはなかった。「常に上から見下ろす感じだった」次の打者を併殺に打ち取り、最後の打者は見逃し三振に。

119球の完封ショーを簡単に終えると、安どの表情でハイタッチを交わした。
リーグ制覇がかかった大事な初戦でも、1点あれば十分だった。大きく割れるカーブを見せ球に、最速143キロの直球を武器に、飛ばしに飛ばす。2回無死一、二塁のピンチを切り抜けると、テンポの良い投球で凡打の山を築いた。リーグトップのチーム打率(2割7分2厘)を誇る群馬打線に、三塁も踏ませない6安打完封。「立ち上がりは悪かったけど、僕にも意地がある。初回の1点で、勝ってやろうと思った」群馬・富岡とのエース対決も制し、白い歯がこぼれた。

〈G坂本刺激〉
忘れられない光景がある。四国IL・愛媛での昨年7月19日。松山坊っちゃんスタジアムで行われたフレッシュオールスターを観戦した。巨人・坂本勇人内野手(19)ら、NPBの若手選手に熱視線を送る中、四国で伸び悩んでいた小山内は、大きな自信をつかんだ。
「プロの打者でも打って3割。それまで細かい制球ばかり気にしていたけど、強気に投げることが大事だと思った」それ以降、愛媛では後期だけで7勝とフル回転し、富山移籍1年目に最多勝、防御率の投手タイトル2冠をゲット。たった数時間の試合だったが、この試合が背番号48を大きくした。

〈29回無失点〉
エースの快投で、雷鳥軍団は敵地で戦勝。鈴木康友監督(49)は「小山内はフィールディングも見事だったし、余裕を持って投げていた。まだ先は長いけど、この1勝は大きい」とエースを手放しで褒めた。9月13日の群馬戦から続く無失点記録を29イニングに伸ばした小山内は「早く優勝を決めたい」。“ドクターゼロ”の視線には「リーグ制覇」の5文字しか映っていない。

〈優士2安打2打点〉
群馬の夜空を、優士が切り裂いた。2点リードの8回2死二塁。カウント1−2からの直球を強振すると、打球は弾丸ライナーで中堅手の頭上を襲った。ダメ押し適時三塁打だ。初回にも先制点をたたき出し、2安打2打点。「次の打者がおかわり(野原)だったんで、つなぐ気持ちで打った」打のヒーローとなったが、冷静に試合を振り返った。

3月のキャンプ中に腰を痛め、開幕には間に合わなかった。5月にスタメンに戻り、8月下旬から3番に座ったが、打率、本塁打、打点と昨年の数字を1つも上回ることができなかった。「シーズンの大事なところで打てなかったし、チームに迷惑をかけた」とリーグ戦を振り返ったが、それもリーグCSの初戦で振り払った。
「久しぶりに打てて良かった」どこまでも冷静だったが、背番号7には充実感が漂っていた。

2008年10月04日掲載

富山北陸制覇 康友監督宙に舞った

富山サンダーバーズが北陸地区優勝を飾った。初回に野原祐也(23)の中前適時打で先制すると、続く町田一也(22)が右越え2ラン。その後も着実に加点し、投げては後期から先発に回った右腕・田中孝次(24)が8回2失点。9回に2点を許したが、石川ミリオンスターズを5−4で振り切った。上信越地区優勝の群馬ダイヤモンドペガサスとのBCリーグチャンピオンシップは7日、開幕する。

〈打倒石川果たした〉
最高の笑顔を輝かせ、富山・鈴木康友監督(49)がマウンドに向かった。苦しみながらも石川を下し、北陸王者。魚津の夜空に3度、舞った。「やっと石川の上に立つことが出来ました」目を真っ赤にして、ようやくつかんだ歓喜を喜んだ。
“打倒・石川”が合言葉だった。昨年は石川との壮絶なデットヒートを繰り広げたが、石川の前に力尽きV逸。

2冠王の野原ら強打を売りとしたが、最後は石川・金森栄治監督の胴上げを目の当たりした。
「去年の悔しさを持って戦おう」ミーティングの指揮官には、自然と石川を意識する言葉が口に付いた。全体練習がスタートした3月からは石川のような「勝てる野球」を追求。
ノックでふがいないプレーが続くと、指揮官は練習を中断し、「おまえら去年負けた理由はなんだ。石川に守備で負けたんじゃないのか」とゲキを飛ばした。

リーグが開幕してもその姿勢を崩さず、試合後は反省練習に汗を流した。前後期優勝を飾ったが、「北陸で優勝しないと素直に喜べなかった」と野原。選手たちは街中で知らない人から「石川だけには負けるな」と声をかけられたこともあって、ライバルへの対抗心が日増しに強くなった。

1年間のリベンジの念は、この試合で爆発。町田の2ランを含む3打点に、マウンドでは田中が8回2失点。1点差に追い上げられたが、昨年石川が初代王者に君臨してから353日後。宿敵を粉砕し、北陸の頂点に立った。

BCリーグチャンピオンシップでは、群馬が待ちかまえる。指揮官は「寒くなるまで野球をやります」とファンの前で宣言した。大きな自信をつかんだ雷鳥軍団が7日、敵地・群馬に乗り込む。

〈鈴木康友監督手記〉
前後期で優勝したけど、プレーオフで石川に勝つまでは喜べなかった。去年は石川の前に悔しい思いをして、今日勝ててホントにうれしいですね。

今年一年は勝つことにこだわってやってきた。その中で、立山球場で練習が出来るようになったのが、チームのレベルアップにつながったかなと思う。去年は県営富山、城光寺、桃山を行ったり来たり。
しかも時間制限がある中で練習してきたわけですから。

立山球場で練習するようになった5月に、チームはワーストの6連敗。連敗中の5月12日に立山球場から車で5分ぐらいの田んぼで田植えをしたんだけど、あの時はチームがどうなるのかと不安だった。稲はすくすく育ていくのに…。「野球選手も稲みたいに育てば」と何度か思った。

そんな中で5月28日の石川戦で小山内が完封。今季石川戦初勝利だったんだけど、あの1勝で1年間の戦い方が見えてきた。「大和が投げれば負けない」って選手も自信を持って戦うようになったしね。稲は結局、9月17日に収穫したんだけど、立山球場で練習を重ねていくたびに、稲と選手がダブって見えた。この4ヶ月で選手は確実に大きく育ったと思う。

1年目のチームスタート時は練習場にホームベースもなくて、引っ越しのダンボールを切って練習していた。何もないところからのスタートだった。2年目に立山球場で課題を1つずつクリアして、前後期優勝の収穫を得て、石川を倒しての北陸優勝。試合は続くけど、1つでも上を目指して、チーム一丸戦っていきたいですね。

2008年10月03日掲載

富山Vお預け 延長11回惜敗

〈今日こそ決める〉
富山サンダーバーズが石川ミリオンスターズに競り負け。リーグチャンピオンシップ進出は3日以降にお預けとなった。
エース右腕・小山内大和(26)、木谷智朗(26)ら意地の継投を見せたものの、打線が石川・南和彰(27)の前に9回まで3安打無得点。リーグ規定により、初の延長戦となったが、延長11回、最後に力尽きた。勝てば、北陸地区Vが決まる第2戦は3日、魚津桃山野球場(18時30分開始)で行われる。

〈打線沈黙〉
天を仰ぎ、奥歯をかみしめた。4点を追う延長11回裏2死満塁。富山の最後の打者・野原祐也(23)が左飛に倒れた瞬間、三塁コーチャーズボックスの鈴木康友監督(49)が悔しさを露にした。勝てば、北陸王者の一戦で惜敗。歓声がアルペンスタジアムにこだまする中、指揮官はうつむいたまま、ベンチへ引き揚げていった。

「今日で何とか決めたいね」試合前、指揮官が話したとおり、意地の継投を見せた。まず最多勝、防御率のリーグ2冠王に輝いた小山内だ。6回1死一、三塁。カウント0−2からの投球で右脚太ももがつったが、そこからが力の見せ所。1死満塁から吉岡、代打・三宅を続けざまに空振り三振。ポーカーフェイスでマウンドに立つ背番号48から思わずガッツポーズも飛び出した。
球は高めに浮き、石川打線に6安打。本来の姿とはほど遠かったが、7回無失点。まさにエースの力投だった。

7回2死一、二塁の座親のインフィールドフライを巡り、試合は31分間中断。8回からリーグ11勝の右腕・木谷がマウンドへ。8回1死に左翼線二塁打を許したが、直球中心の投球でバットのしんを外していく。2回を無失点に抑え、延長10回からは守護神・小園司(26)に託した。

後期だけで9セーブを挙げた“雷鳥魔人”は10回に2死一、二塁のピンチを招いたが、内田を125キロの外角のスライダーで空振り三振。しかし、11回に2死満塁のピンチを迎えると、座親に先制2点中前打。続く深沢に四球を与えると、平泉にダメ押し2点中前打を浴び、一挙4点を許した。

打線も9回までに4度、得点圏に走者を進めたが、後が続かない。カットボール、スライダーなど多彩な変化球を駆使する石川・南の前にあと1本が出ず、まさかの完封負け。この日の悔しさは3日に晴らすしかない。

2008年10月01日掲載

塚本 雄一郎〜富山のいぶし銀「塚本つないで」頂点へ!!

〈BCチャンピオンシップ明日開幕〉
BCリーグ北陸地区のチャンピオンシップが2日、初戦を迎える。石川ミリオンスターズと対戦する富山サンダーバーズは30日、立山町総合公園野球場で約4時間の練習。リーグトップ28犠打の2番・塚本雄一郎外野手(23)は、この日も好調ぶりをキープ。「つなぎ野球の申し子」が大暴れを誓った。

〈1勝で北陸王者〉
この日のバント練習。塚本が右ひじを小さく折りたたんで、三塁線に勢いのない打球を転がす。「悪くない。いいときの感覚が戻ってきている」と笑顔。打撃ゲージの後ろで、鈴木康友監督もうなずいた。

昨年は3月に腰を痛め開幕に間に合わなかったが、今季はフル出場。2番打者として、リーグトップの28犠打、37四球を記録。2日からの決戦に向け、「なかなか打てないと思うけど、リーグと一緒で、後ろにつなぐ野球をしたい」と塚本。昨オフ宮地克彦プレーイングコーチらがチームを去り、打撃のチームから「つなぎ野球」に方向転換した雷鳥軍団。その申し子は、シーズンの集大成を見せつけるつもりだ。

3戦で1勝すれば、BCリーグチャンピオンシップ出場権を得る。「1発で終わらせたい」と言う富山の“いぶし銀”が、チームを、まずは北陸王者へ押し上げる。

プロフィール

とやま・いしかわ報知
「スポーツ報知」にて富山、石川に密着したスポーツ記事を掲載中。

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