「戦力外通告を受けたら、どうなるんだろう」その不安を抱えながら、今この記事を読んでいるあなた。すでに一歩先を行っています。
NPBの調査によると、現役若手選手の約42%が「引退後の進路を考えていない」と回答。引退後の生活に不安を感じる選手は約34%にのぼり、その不安要素の78%が「収入面」です。

この記事では、引退後の具体的な進路パターン、「悲惨」「貧乏」と言われる失敗の原因、そして今から始められる準備まで解説します。
結論
野球で培った力は社会で確実に評価されます。今考え始めている時点で、あなたには十分なアドバンテージがあります。
【結論】野球選手は引退後も「野球で培った力」で活躍できる

プロ野球選手が身につけているスキルは、一般企業が求める人材像と驚くほど一致します。「野球しかやってこなかった」という不安は、言い換えれば「一つのことに全力で取り組み続けた」という証明。採用市場で高く評価される資質です。
礼儀・規律・粘り強さは企業が求めるスキル
編集部記事内で紹介した久古氏本人が、現役時代の経験とビジネスの共通点について語っているインタビュー映像です。「野球しかやってこなかった」という不安を払拭するヒントが詰まっています。
挨拶、時間厳守、上下関係への対応、反復練習への耐性。プロ野球選手が当たり前にこなしてきたこれらは、ビジネスの現場で「社会人基礎力」として重視される能力そのものです。
| 野球で培った力 | ビジネスでの評価ポイント |
|---|---|
| 時間管理能力 | 試合・練習のスケジュール厳守 → 納期管理に直結 |
| 目標達成へのコミット力 | 「結果を出す」姿勢 → 営業成績・事業目標達成に強み |
| チームワーク | チームの勝利を追求 → 組織での協調性として評価 |
| ストレス耐性 | 1軍・2軍入れ替え、スランプ克服 → 困難な局面で活きる |
元ヤクルトの久古健太郎氏は、大手コンサルティング会社デロイト トーマツへの転職を成功させた際、こう語っています。
スポーツを通して身についた『目標を明確に持ち、逆算して動くこと』と『結果にコミットするマインド』が生きている
出典:NPBセカンドキャリア「NEW BALL」
目標達成力を評価するアスリート採用が増加中
近年、「アスリート採用枠」を設ける企業が増えています。元スポーツ選手の持つ目標達成力、精神力、チームワークを評価する動きです。
NPBのセカンドキャリア調査では、引退後の進路希望として「会社経営者」が2年連続でトップ(2024年調査で18.8%)に。「高校野球指導者」(18.2%)を上回りました。野球界に残る以外の選択肢を考える選手が増えています。
- 明確な数値目標に向かって努力できる
- PDCAサイクル(計画→実行→検証→改善)を自然に回せる
- プレッシャーのかかる場面でも力を発揮できる
- 組織の一員として役割を全うできる
これらはすべて、野球選手が日々の練習と試合で培ってきた能力です。
元プロ野球選手の転職成功事例も多い
「野球選手からの転身は難しい」というイメージは、もはや過去のもの。野球界以外で活躍する元選手は確実に増えています。
| 選手名 | 現役時代 | 引退後のキャリア |
|---|---|---|
| 久古健太郎 | ヤクルト(投手)通算228試合登板 | デロイト トーマツ入社(2019年)→ 野球データ企業ライブリッツでプロジェクトリーダー |
| 奥村武博 | 阪神(投手)1997年ドラフト6位 | 2013年公認会計士試験合格、日本初の元プロ野球選手公認会計士、現・株式会社スポカチ代表 |
| 池田駿 | 楽天(投手) | 2023年公認会計士試験合格、奥村氏に続く2人目の元プロ野球選手公認会計士 |
久古氏は戦力外通告を受けた後、転職エージェントから「元アスリートがコンサル企業に就職する前例がない」と言われながらも、自ら30社にエントリー。約3か月で6社から内定を獲得しました。



奥村氏の場合、高校時代に取得した日商簿記2級が公認会計士への道を開きました。小さな資格が大きな武器になります。
野球選手は引退後に何してる?4つの進路と実例


引退後の進路は大きく4つに分類されます。NPBの進路調査によると、野球関係の仕事に就く選手が多数派。ただ、近年は一般企業への転職や起業を選ぶ選手も増加傾向にあります。
①野球界に残る(球団職員・指導者)
引退選手の約4割がNPB関係(監督・コーチ・球団職員・スタッフ)に残ります。2019年の調査では、退団した127名のうち39%がNPB関係の職に就きました。
| 進路 | 内容 |
|---|---|
| 球団職員・スカウト | スカウト活動、広報、マネジメント業務。選手時代の人脈・知識を活かせる |
| コーチ・指導者 | 2軍コーチや独立リーグ指導者として後進育成。学生野球指導には「学生野球資格回復研修」の受講が必要 |
| 解説者・メディア出演 | テレビ・ラジオの野球解説者。ただしポストは限られ、2019年調査では全体の約1% |
注意
「野球界に残る=安泰」ではありません。球団職員は数年で退職するケースも多く、結局は一般社会での再就職が必要になることも。野球界に残ることを「ゴール」ではなく「次のキャリアへの準備期間」と捉える視点が重要です。
②一般企業へ転職(営業・人事など)
野球経験を活かして一般企業で活躍する元選手は着実に増えています。とくに営業職は、目標達成へのコミット力やコミュニケーション能力が評価され、未経験でも採用されるケースが多い職種です。
- 営業職:法人営業・個人営業ともに、数字への意識の高さや粘り強さが武器に
- 人事・採用担当:アスリート採用を強化する企業で、元選手の視点を活かした採用活動が可能
- コンサルタント:久古氏のようにコンサル業界へ転身するケースも
転職エージェントでは「営業職」を勧められることが多いですが、久古氏の事例が示すように、自分で企業に直接エントリーすることで選択肢は広がります。
③起業・独立
NPBの2024年調査では、引退後に就きたい仕事として「会社経営者」が最多の18.8%。飲食店、野球スクール、ジム経営など、起業を選ぶ元選手は少なくありません。
- 飲食店経営:ファンとの接点を持ちやすく、知名度を活かせる。ただし開業3年以内の廃業率は約50%
- 野球スクール・アカデミー:指導経験と選手ネットワークを活かした事業。地域密着型で成功するケースが多い
- トレーニングジム:身体に関する知識を活かせる。パーソナルトレーニングの需要増加も追い風



起業で成功している元選手の共通点は「知名度だけに頼らない」こと。事業計画、資金管理、マーケティングの知識を身につけてから独立しています。
④専門職(トレーナー・教員など)
資格を取得して専門職に就く選手も増加傾向にあります。NPBの調査では、引退後に「進学」を選ぶ選手が近年増えており、その多くが医療系の専門学校に進学しています。
| 資格・職種 | 取得期間の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 理学療法士 | 3〜4年(専門学校・大学) | 国家資格。スポーツ現場での需要が高い |
| 柔道整復師 | 3年(専門学校) | 国家資格。接骨院・整骨院の開業も可能 |
| 教員免許 | 2〜4年(大学・通信制) | 高校野球の監督を目指す場合に必要 |
| 公認会計士 | 2〜5年(独学・予備校) | 奥村氏は9年で合格。高校時代の簿記が起点 |
| NSCA-CPT | 3か月〜1年 | 民間資格。パーソナルトレーナー向け |
奥村武博氏は「高校時代に取った日商簿記2級が、公認会計士を目指すきっかけになった」と語っています。現役中に取得した資格や学んだ知識が、引退後のキャリアを切り開く武器になります。
野球選手の引退後が「悲惨」「貧乏」になる3つのパターン


引退後の「悲惨な末路」には、共通するパターンがあります。逆に言えば、これらを避ければ選択肢は大きく広がります。失敗事例から学び、同じ轍を踏まないことが重要です。
①知名度だけで起業・飲食開業する
「元プロ野球選手」の肩書きだけで飲食店を開業し、数年で閉店するケースは後を絶ちません。飲食業は開業3年以内の廃業率が約50%、10年以内では約90%という厳しい世界です。



引退後の起業や飲食店経営のリスクについて、OBの里崎智也氏が厳しい現実を解説しています。「知名度だけで成功できるほど甘くない」という現実を知るために視聴してください。
- 知名度=集客力と勘違い:開店直後はファンが来ても、リピーターがつかなければ売上は続かない
- ビジネス知識なしで開業:原価計算、資金繰り、人件費管理の知識がなく黒字化前に資金が尽きる
- 初期投資をかけすぎ:内装や設備に貯蓄を注ぎ込み、運転資金が不足する
「知名度≠ビジネス力」です。起業するなら、まずは一般企業で経営やマーケティングの基礎を学んでからでも遅くありません。
②現役時代の金銭感覚で生活を続ける
「プロ野球選手は稼いでいる」というイメージがありますが、現実は異なります。2024年のNPB選手会調査によると、支配下選手の年俸中央値は1,800万円。平均年俸4,713万円との差が示す通り、一部の高額年俸選手が平均を押し上げています。
| 指標 | 金額 | 備考 |
|---|---|---|
| NPB支配下選手の平均年俸(2024年) | 4,713万円 | 過去最高を更新 |
| 年俸中央値(2024年) | 1,800万円 | 半数の選手はこれ以下 |
| 若手選手の平均年俸 | 約1,000万円 | 平均22.9歳の選手が対象 |
| 高卒男性の生涯賃金 | 約2億500万円 | 60歳まで正社員の場合 |


仮に年俸1,500万円で10年間プレーしても、税金・社会保険料を差し引いた手取りは年間約1,000万円程度。10年間の総収入は約1億円で、高卒正社員の生涯賃金(約2億500万円)の半分にも届きません。
注意
「現役時代に一生分稼いだ」と思い込むのは危険です。引退後の人生は、現役生活より遥かに長いのです。
③引退後すぐに動かない
NPBの調査では、若手選手の約42%が「引退後の進路を考えていない」と回答。「自分はまだ大丈夫」「いつかやればいい」という先送りが、選択肢を狭める最大の原因です。
- 年齢が上がるほど転職市場での価値が下がる:未経験からの転職は若いほど有利
- 資格取得に時間がかかる:公認会計士は奥村氏で9年、理学療法士は最短3年
- 人脈が途切れる:現役中に築いた繋がりは、時間が経つほど薄れる
逆に言えば、今この記事を読んで「何かしなければ」と考えているあなたには、大きなアドバンテージがあります。引退後を「考えていない」選手が4割以上いる中で、すでに情報収集を始めているのですから。
野球選手が引退後に向けて今からできる2つの準備
現役中にできる準備は限られますが、その「限られた準備」が引退後の選択肢を大きく広げます。オフシーズンの過ごし方、日々の意識の持ち方で差がつきます。
①オフシーズンに資格取得・学習を始める
現役中でも取得できる資格、学べる知識は数多くあります。奥村氏が高校時代に取得した簿記2級が公認会計士への道を開いたように、小さな一歩が将来のキャリアを決定づけることもあります。



実際に難関資格である公認会計士試験に合格した奥村氏が、現役時代の経験をどう勉強に活かしたかを語っています。「自分には無理だ」と諦める前に、ぜひ一度ご覧ください。
| 資格・学習内容 | 取得期間 | 活かせる進路 |
|---|---|---|
| 日商簿記3級・2級 | 2〜6か月 | 経理職、会計士・税理士への足がかり |
| FP(ファイナンシャルプランナー) | 2〜4か月 | 保険・金融業界、資産管理の知識 |
| 宅地建物取引士 | 6か月〜1年 | 不動産業界への転職 |
| NSCA-CPT | 3か月〜1年 | トレーナー、ジム経営 |
| MOS(マイクロソフトオフィス) | 1〜2か月 | 一般企業での事務スキル証明 |
資格取得だけでなく、ビジネス書を読む、オンライン講座で学ぶといった習慣も有効です。久古氏は「コンサルタントが書いた本に影響を受け、コンサルティング業界に興味を抱くようになった」と語っています。



國學院大學や新潟産業大学では、日本プロ野球選手会と連携した「セカンドキャリア特別選考入試」を実施しています。
②自分の強みを「言葉」にしておく
野球で培った経験は、そのままでは企業に伝わりません。「一軍で投げた」「首位打者を獲った」という実績も、ビジネスの文脈に「翻訳」しなければ評価されないのです。
久古氏は転職活動で、「自分がどういうプロセスで野球が上手くなり、結果どうなったかを、具体的に、論理的に、簡潔にまとめて伝えること」を意識したと言います。大学時代から続けていた「野球ノート」の習慣が、履歴書作成に活きました。
| 野球での経験 | ビジネスでの言い換え |
|---|---|
| 毎日の練習で技術を磨いた | 継続的な自己改善、PDCAサイクルの実践 |
| 試合で結果を出した | プレッシャー下での成果創出、目標達成力 |
| チームの勝利に貢献した | 組織目標への貢献、チームワーク |
| 故障から復帰した | 逆境からの回復力、メンタルの強さ |
| 後輩を指導した | 育成能力、リーダーシップ |
| フォームを改造して成績が上がった | 課題分析と改善、変化への適応力 |
今からでも、自分の野球人生を振り返り、「どんな困難があり、どう乗り越え、何を学んだか」を言葉にしておくこと。これが面接や職務経歴書で最大の武器になります。
野球選手の引退後・セカンドキャリアを相談できる支援サービス
一人で抱え込む必要はありません。元選手のキャリア支援に特化したサービスを活用することで、効率的に情報収集と準備を進められます。
民間のアスリート特化転職エージェント


アスリート専門の転職エージェントは、一般のエージェントとは異なる強みがあります。「元アスリート」という経歴を弱みではなく強みとして企業に提案できるノウハウを持っています。
- アスリートの強みを理解:「野球しかやってこなかった」を目標達成力・継続力として言語化してくれる
- アスリート採用に積極的な企業とのパイプ:一般の転職サイトでは見つからない求人情報を持っている
- キャリア相談が無料:まだ引退を決めていない段階でも、情報収集として相談できる
久古氏は転職エージェントから「営業職」ばかり勧められたため、自力で就活を行いました。ただ、自分の希望を明確に伝えられる選手であれば、エージェントを活用することで効率的に転職活動を進められます。
まずは無料相談で、自分の市場価値や選択肢を把握してみてください。
アスリート専門の転職相談
「野球しかやってこなかった」という不安、よくわかります。アスリート特化の転職エージェントなら、あなたの経験を「強み」として言語化し、採用に積極的な企業を紹介してくれます。まずは無料相談で、自分の市場価値を確認してみませんか。
NPBキャリア支援プログラム(無料)
NPBは現役選手・引退選手向けに、無料のキャリア支援プログラムを提供しています。選手会を通じて利用できるため、まずは所属球団や選手会に確認してみてください。
- セカンドキャリアセミナー:フェニックスリーグ期間中などに開催。先輩選手の体験談やキャリア形成の考え方を学べる
- 先輩へのインタビュー(NEW BALL):NPB公式サイトで、引退後に活躍する先輩選手のインタビューを公開
- 学生野球資格回復研修:高校・大学野球の指導者を目指す場合に必要な研修
詳細はNPBセカンドキャリア公式ページで確認できます。


野球選手の引退後・セカンドキャリアに関するよくある質問
Q:球団職員になれば安泰?
A:「安泰」とは言い切れません。球団職員は数年で退職するケースも多く、最終的には一般企業への転職が必要になることもあります。
球団職員のメリットは、野球の知識と人脈を活かせること、引退直後の「次を考える時間」を確保できること。ただし、給与水準は一般企業の同年代と比べて高くはなく、ポストも限られています。



「野球界に残ること」をゴールではなく、「次のキャリアへの準備期間」と捉えるのがおすすめです。
Q:「野球バカ」でも社会で通用する?
A:通用します。むしろ、野球に打ち込んできたからこそ身についた能力があります。
礼儀・規律・粘り強さ・目標達成力。これらは企業が求める「社会人基礎力」そのものです。久古氏がコンサル会社に転職できたのも、奥村氏が公認会計士に合格できたのも、野球で培った「結果にコミットする力」があったからこそ。
ただし、その能力を「言葉」にして伝える必要があります。「野球を頑張りました」ではなく、「どう頑張り、何を学び、どう成長したか」を具体的に説明できるよう準備しておきましょう。
Q:起業と転職、どっちがいい?
A:正解は人によりますが、「まずは転職で社会経験を積んでから起業」という選択肢もあります。
| 転職 | 起業 | |
|---|---|---|
| メリット | 安定収入、ビジネススキル習得、人脈形成 | 自由度が高い、収入の上限なし、やりがい |
| リスク | 年収ダウンの可能性、適応に時間がかかる | 収入不安定、失敗時の損失、孤独 |
| 向いている人 | 安定を重視、学びたい意欲がある | 明確なビジョンがある、リスク許容度が高い |
知名度だけで起業して失敗するケースが多いのは、ビジネスの基礎知識がないまま始めてしまうから。数年間は一般企業で経営・マーケティング・財務を学び、その上で起業するという道も検討してみてください。
まとめ|野球選手の引退後は「今」動き出した人が勝つ
引退後の人生は、現役生活より遥かに長い。だからこそ、今から準備を始めることに意味があります。
この記事のポイント
- 野球で培った力は社会で評価される:礼儀・規律・目標達成力は、企業が求めるスキルそのもの
- 引退後の進路は4つ:野球界に残る、一般企業へ転職、起業・独立、専門職
- 「悲惨」になる3つのパターン:知名度だけで起業、金銭感覚のズレ、動き出しの遅れ
- 今からできる準備:資格取得・学習、自分の強みの言語化
- 支援サービスを活用:アスリート特化エージェント、NPBキャリア支援
「野球を辞める」のではなく、「選択肢を増やす」。そう考えれば、引退は終わりではなく、新しいキャリアの始まりです。
現役アスリートの方に伝えたいことは、引退後の社会において、自分の努力次第でいくらでも可能性は広がるということ
出典:久古健太郎氏インタビューより
今この記事を読んでいる時点で、あなたはすでに一歩先を行っています。その一歩を、具体的な行動に変えてください。







