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2007年10月15日掲載

諦めない

〈富山が逆転勝ちで優勝に望み〉
富山サンダーバーズが信濃に6―3で、逆転勝ちし、優勝に望みをつないだ。富山は4035人の大観衆の前で、けがで8月25日以来の先発となった大滝紀彦(23)が5回途中3失点の粘りの投球。8回に宮地克彦選手兼任コーチ(37)が執念の左前適時打で決勝点を叩き出した。石川ミリオンスターズは新潟を下し、マジックを1にしたため、富山が逆転優勝を果たす条件はきわめて厳しいが、最後の最後まで全力で戦う。

〈全員野球で希望つなげた 残り2戦連勝するだけ〉
執念以外の何ものでもなかった。3―3の8回1死満塁。外角に落ちるシンカーに、富山・宮地は体全体で食らいついた。打球が三遊間を抜けると、城光寺球場今季最多の4035人の観客から大歓声がわき上がった。頼れる背番号8から決勝点が生まれた。「この場面で打てないと1年間の意味がない。ファンの方が力を与えてくれました」
 
石川にマジック2が点灯。絶対不利の状況だった。だが富山には選手を後押しするファンがいた。内野席を埋め尽くし、外野席まで緑の応援団があふれた。「これだけ追いつめられても大勢の人が優勝を信じて応援してくれる。負けられない」井野口祐介(22)の言葉は選手全員の気持ちだった。
 
背水のマウンド。そこには右ひじと右肩の故障で、約1か月半、戦線を離脱していた大滝が立っていた。完治はしていないが「どうにか(チームのために)投げたかった。急ピッチで仕上げました」失策でペースを乱されたが、5回途中3失点で中継ぎエース・五艘祐一(21)につないだ。
 
投手陣に打線も応えた。リーグ打点王ながら、ここ6試合打点なし。27打数3安打の井野口が0―2の4回無死一、二塁で左翼場外に逆転3ラン。「周りに切り替えていこうと励まされた。うれしかった」1年間戦ってきた仲間が不振の5番の力になった。5回に同点に追いつかれたが、8回に宮地と優士(24)の連続適時打で勝ち越し。最後は守護神・田中孝次(23)がしめた。
 
「プロ野球経験のある僕でも、負けられない試合というのは緊張した」西武とソフトバンクで優勝争いを繰り広げてきた宮地も認めるタフな試合で、全員が力を出し切って勝った。残り2戦。「勝つためには何でもやります」と大滝。可能性が残っている限り、富山は初代王者を最後まであきらめない。

プロフィール

とやま・いしかわ報知
「スポーツ報知」にて富山、石川に密着したスポーツ記事を掲載中。

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